弘法の三つ井戸

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地方にはいろいろな伝説・昔話があり、ここ埼玉の所沢にもいろいろな話伝えられています。
そんな中の一つをご紹介します。前にも「河童の詫び証文」を紹介しましたが、今回は三つ井戸のお話をします。

昔、一人の旅僧が所沢にやってきました。長旅でのどが渇いたので、一軒の百姓家を訪ね「のどが大変乾いています、どうかいっぱいの水をください」
と頼みました、するとその家の娘は「それはお困りでしょう、いま水を汲んできますからちょっと待っていてください」といって出かけましたが、
なかなか帰ってきません。ようやく帰ってきて「お待たせしました、さあお飲みください」と水を差しだしてくれました。
水をおいしそうに飲んで、「ずいぶん時間がかかりましたがどうかしたのですか」と尋ねました。
娘は「ここは水が不便で遠くまで水を汲みにいかなければなりません」と答えました。
それを聞いた旅僧は水汲みが大変でしょうと不憫に思い、持っていた杖で三か所を指し示して「ここを掘りなさい」といって」立ち去りました。
その場所を村人たちが半信半疑で掘ってみました、すると少し掘っただけで水がこんこんと湧き出てきました、夏の暑い時でも枯れないこの井戸を「三つ井土戸」と呼びました。

所沢というところは水が不便な場所といわれ、近隣の人たちは「所沢に嫁をやるな」といわれていました。
ですのでこういう話が伝えられたのだと思います。