元鮨職人に聞いた魚と料理の話 鯵編

 

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今回は、刺身から塩焼き・干物・フライと家庭の食卓に又お酒のつまみなど幅広く愛されている「鯵」についてです

鯵の種類も結構多くあり 真鯵・ムロアジ・赤アジ・メアジ・縞あじ・マルアジ等50種以上といわれています

鯵科の魚は黒潮にのって回遊する暖海性であり、真鯵の旬は晩春から夏場にかけてであり産卵期は2月頃からですが 南方面では3月から5月ころで北の方面では7・8月頃と場所によって若干の違いがあります、ただ鯵は1年を通して極端に味の落ちる魚ではありません

一般的に良く出回っているのは真鯵ですが、マルアジ・ムロアジも良く見かけます、見分け方は単体で見ないと区別がつきにくいですが 真鯵の魚体は黒に近い黄金色をしていてゼイゴが大きくはっきりしています マルアジは魚体が少し青っぽく感じゼイゴも弱く尾の付け根部分に小さいヒレがついています ムロアジは魚体が丸みを帯びていてゼイゴが細長いです、伊豆諸島の名産の「クサヤ」はムロアジがよく使われています

味については人それぞれですが真鯵が良いといわれてます、典型的なプランクトンイーターである真鯵を中心にお話を続けていきます

名の由来

鯵は「味」という言葉がそのまま呼び名になったという説が一般的に言われてます、よく取れる味の良い魚という訳です

鯵を漢字で表すと魚編に参と書きますがこれは旧暦の3月(今の暦で4月中旬位)から漁期に入るのでこの漢字がついたそうです

また真鯵の真は「ほんもの」という意味で鯵科の代表、これぞ鯵の中の鯵という意味を表しています 鮮度の良い鯵は、腹にウロコがびっしりついていて、きれいな銀白色でうっすらと青みを帯びています、又、脂ののった鯵は頭が小さく身が厚いのが良いとされてます

鯵科の魚には「ゼイゴ」というとげのようなウロコがありますが、近海でとれる鯵の見分け方がこのゼイゴにあります

真鯵のゼイゴは上下にトゲが伸びているような形をしています、ほかの鯵のゼイゴは真鯵に比べ小さいものが多く側線の後部にきて目立つ程度です(上記の絵を参照してください) このゼイゴは非常に硬いウロコであり身を守るためと言われていて、太古の時代のなごりといわれ原始的なウロコといわれてます

ゼイゴの形が「楯」に似ていることから魚類学では「楯鱗(じゅんりん)」とつけられていたそうです

鯵は味にくせがなく大きさも手ごろなサイズであるため用途は広く沢山の調理法があります そのため皆さんがよくご存知の料理が多くありますのでちょっと変わった料理をいくつかご紹介します

鯵の七味焼き

鯵・ズケダレ(マグロ編2を参照したください)・七味唐辛子・ハジカミ(お好みで) これは手軽に作れます、まずは鯵のゼイゴをそぎ落とし3枚におろします、ズケダレに七味唐辛子をあわせておきます

3枚におろした鯵は串を打って焼きます、少し焼いたら裏返ししてまた焼きます、ある程度焼いたら ズケダレと七味を合わせたのにつけます(ウナギのかば焼きのたれに漬けるような感じ)たれをよく切りまた焼きます 少し焼いたらまたたれに漬けまた焼くこれを繰り返して焼き上げます、たれをつけて焼くときはこげやすいので注意してください お皿に盛り付けハジカミを添えて出来上がりです、ご飯にもお酒のつまみにもあいます 七味焼きはイワシ・サバにもあいますしイカを使ってもおいしくできます

鯵の吉野和え

鯵・塩少々・焼き海苔・あさつき・大葉・おろし生姜・吉野酢(だし汁大さじ6・砂糖小さじ4・塩小さじ1・みりん大さじ9・酢大さじ9・片栗粉大さじ2)

ちょっと高級感のある料理です、まず先に吉野酢を作ります、片栗粉をはぶいた材料を鍋に入れ火にかけ煮立てて、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ冷ませておきます

鯵はゼイゴをそぎ落とし3枚におろし、腹骨をすき取り小骨をとります、皮を引きます薄塩をふり20分くらい置き水気を拭きとります

鯵の磯辺巻きを作ります、巻きすに焼き海苔をひき鯵の皮目を下にして並べ長さを切りそろえたあさつきを芯にして巻き込みます、これを等分に切り分けます

器に大葉をしき磯辺巻きを盛りおろし生姜をのせ吉野酢をかけて出来上がりです

骨せんべい

鯵の骨身・揚油・塩・ごま油(お好みで)・青のり(お好みで)

鯵を3枚におろした骨身を使います、これを1晩水につけ途中2~3回水を変える

細い金串で脊髄に通し血抜きをし、小さいスプーンを使って骨身についている身をとるこれをすることにより生臭さが残りません

風通しの良いところで乾かし、揚げ油を低温で熱し、この中にいれ時々箸で返しながら色ずくまで揚げ 最後に強火にして1分位カリッと揚げる、最初から強火にすると苦みがでてしまいますので注意してください 油をよく切りお好みでごま油を刷毛で塗り、青のりを少々振りかけて出来上がり カルシウムたっぷりのおつまみになります 。